昨年(2014年)の世界経済を振り返った時、印象的な事の一つとしては、原油価格の下落を挙げる事ができます。
米国の原油先物相場では2014年12月に、1バレル60ドル台と実に5年5ヶ月ぶりの安値を付けました。今回は、この背景について考えてみたいと思います。
原油価格下落の背景
原油価格下落の背景には、次の様な要因が考えられます。
・世界的な需要低迷
米国以外の各国経済は順風満帆と言えず、供給能力過多となっている事は確かでしょう。
・シェールオイル/ガスの影響
米をはじめとするシェールオイル/ガス生産量増加が、エネルギー需給の環境に大きな変化をもたらしています。産油国側が、低価格競争に持ち込む事で、シェールオイル開発に牽制をかける意図があるとも言われますが、もろ刃の剣とも考えられます。シェールオイルの採算コストは採掘抗により大きくばらついており、20から80ドルとも言われていますので、全てを駆逐するのは現実的に難しい事も予想されます。
・政治の影響
米国が原油安を主導し、ロシアに圧力をかけているという見方も一部に存在します。また最大の産油国であるサウジアラビアについては、王室が世代交代の時期に差し掛かっており、重要な意思決定がしにくい状況である事も指摘されています。単純な経済活動だけではなく、その様な思惑も影響しているのかも知れません。
・米金融緩和の終了
米金融緩和で原油をはじめとする商品相場へ流れていた資金量が減っている事も大きな一つの要因である事は間違いないでしょう。
まとめ
実際の需要低迷、シェールオイル等の影響による供給過多、政治的な思惑、米金融緩和終了に伴う影響などがファクターと言えるので、これらについて注意深く観察していく事が、今後の価格を予想する上で重要でしょう。ただし価格の変動が急ですので、一時的な価格の揺り戻しは、ある程度あるかも知れません。
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