米金利の動向

FMOCは、量的緩和第3弾(QE3)の追加証券購入を10月28~29日の会合で終了し、とうとうリーマンショックから続く「特別事態」が終幕する事となりました。これに伴って、いつゼロ金利政策の解除が行われて金利が上昇していくかが注目さています。

イエレンFRB議長のスタンスとしては、ゼロ金利政策解除については、「経済データ次第だ」という立場を保っていますが、市場では、2015年中頃という見方が多く、それに対して関係者の発言などに反応して早まる遅れるという予想がされる状況となっています。
バーナンキ元議長の時には、失業率6.5%という目標設定が示唆されていましたが、イエレン議長は労働関係の専門家でもあり、労働の質について重視しているとされています。通常取り上げられる失業率はU3ですが、職探しをあきらめた人、家事育児で働けない人などを含めた厳しいU6指標も判断材料にしている訳です。アメリカのU6失業率は8月末で12%ですので、決して低い値とは言えないでしょう。つまり、労働参加率、時給賃金の変化、パートタイムの比率など「質」もチェックする指標で見ると状況は、いささか異なってくるのです。
もう一つのポイントは、インフレ目標の2%に、すぐに到達できる見込みが低いという事でしょう。米のインフレ率は、1980年代から長期的に低下傾向が続いており、2012年4月に2%を超えたのが最後になっています。成熟経済ということなのかも知れませんが、これは同様の目標を掲げている日本にとっても、おそらく低くないハードルと考えられます。

期待先行で、ドル円相場などにも影響が出ていますが、材料を一つ一つみていくと、当事者にとっても非常に舵取りの難しい時期に差し掛かっている事は確かでしょう。現在期待されているほど、順調に金利を上げていけるのかとう疑問が少々残ります。

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